日本の言語景観

−各地の方言看板−

作成:ダニエル・ロング

ええじゃないか


この「ええじゃないか岡山地酒」という文句はあまり意味がないように思われるが、ただ単に「ええ」(良い)という言い方を使いたかったんでしょうか。

熊本空港の「よう、きなはった」(いらっしゃいませ)



熊本空港で「降りられません」。


不可能表現を禁止の意味で使う現象は柴田武が『生きている日本語』の中で「方言と思っていない方言」として取り上げた。標準語だったらむしろ次の写真のように、下りエスカレータのような場合に「降りられません」を使う。




阪急電車から見える「ひち」(質屋)の看板は「ひ」と「し」の混交現象を現している



これも大阪。うちんとこプリント刷ってんねん



大阪。火は出さへん 強い決意が なにわ流



大阪で薩摩方言。おいどんも、ほんのこつ、涼しいでごわす



静岡県新居町。やめまいか!


「やめないだろうか」は文語ではこういうが、このように「〜まい」が会話で使われる地域が限られている

名古屋。「だがね」(だよね)


ここでは、南山大学内の店名になっているが、名古屋弁の「だがね」(だよね)は代表的な方言形式。1995年にDA.GA.NEというタイトルの方言ラップがあった。曲目はこの店名と同様、ローマ字の大文字で音節間に点があった。
DA・GA・NEの情報、歌詞などへのリンク
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鹿児島県桜島町。チリ(ごみ)


ゴミ一般のことをチリと言うのは九州南部から沖縄にかけて使われている。面白いことこの手書きの標識から50メートル離れたところにあった製造された看板は標準語の「ゴミ」(次の写真参照)が使われていた。

鹿児島県桜島町。ゴミ(上の写真参照)



熊本市。チリ入れ(ごみ箱)


(上の写真参照)「ちり入れ」と書きながら「もえるゴミ」と書かれているのは興味深い。奄美や沖縄で「燃えるちり」や「ちり捨て場」の写真も見てください。

えびふりゃ〜。(えびフライ)


名古屋名物。食べ物自体もそうだが、言い方もそうだ。

各地方言訳付きの社内広告


東海道新幹線の中の広告。東京(じゃん)、名古屋(がや〜)、京都(んどすぇ〜)、大阪(ねん)、広島(けんね〜)、福岡(ばい)のそれぞれの代表的な表現を含む「各地方言訳」が載っている。広島の「けん」は理由を表す「から」の意味になっているなど、意味が微妙ものもある。

東京の広告。むちゃ(とても)


東京で見た広告。宣伝しているの宮城県の蔵王ビーフ。ムチャは東京や東北のことばではなく、関西だと思ったが、今や全国に広がっているのか

名古屋。めちゃ(とても)


上の写真と同様、関西から広まったと思われる程度副詞。程度副詞でも言い方によっては形容詞の修飾にしか使えないものもあれば、ここの「めちゃ売れています」のように動詞の修飾にも使えるものがある。ムチャ・メチャは両方。強調の役割を果たすこともあって、促音が入り、「めっちゃ」、「むっちゃ」になりやすい。

十日町市。キナーレ(いらっしゃい!)



伊賀上野。ようおこし(ようこそ)



伊賀上野。またきてだーこ(また来てください!)



富山。立山に来られ(いらっしゃい!)



富山、なんと(南富)に来られ(いらっしゃい!)



茨城県大洗町。よかっぺ(良いだろう!)ホームページ



東京都。らっしゃい東京(いらっしゃい)ホームページ



標準語の本場とされる東京都ですら、独自のことばをアピールしようとしている。

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