伊豆大島の言語景観1

作成:ダニエル・ロング、血脇洸寿



カギルノォー(限るなぁ)

伊豆大島の観光ポスターで「リフレッシュといえば、見晴らしの良い場所に限るのぉ」というキャッチフレーズが江戸時代の格好をした人の写真と共に使われている。文末詞の「のぉ」については後に触れる。近年、日本各地で方言を観光客に向けて使う傾向が見られる。方言が文化的観光資源として使われているのだ。しかし、伊豆大島のことばを使って観光客にアピールすることは難しい。一つの理由は伊豆大島のことばはそれほど東京語と変わらないからだ。もう一つの理由は、本物の伊豆大島ことばを使っても、よその人にとってそれはどこのことばか分らないから、イメージが沸かない。そこで「昔話弁」が採用された。実は文末詞の「のぉ」は大島や江戸で使われたことがなくて、むしろ、西日本方言の特徴だ。具体的に言うと中国地方に分布する。さて、どうして昔話に中国地方のことばに登場する?江戸末期から明治にかけて近畿地方の都市部(大阪、京都、奈良、神戸)のことばが激しく変化した。例えば、それまで大阪は西日本の他の地域と同様、断定助動詞に「ジャ」を使っていたが、「ヤ」に変わった。大阪の年寄りは「そうジャ」のまま、大阪の若者は「そうヤ」に変わっていた。周辺の中国地方のことばは変化せずに、古い西日本方言のままになっていたから、近畿の都市部の若い人が、中国地方の方言を聞くと昔の大阪弁を思い出す要素があった。アニメなどを影響で「お年寄りや古き良き時代にびったりのことばは中国地方」というイメージが広がった。「〜のぉ」は伊豆大島のことばではないし、江戸弁でもない、日本のボップカルチャーでは「江戸時代弁」となっているようだ。




ショイカゴ(背負い籠)




キフザラ(菊皿)




ミコンジョーロ(神子舞)




ミコンジョーロの衣装




アシタボ(明日葉)




ニシャア ウマイズラー




ベッコウ




アライオヘ(洗い桶)




ナワキリ シヤビ(クロシビカマス、これ以外にも「さび」と言う地域が大島にある)




カへスズリ(掛け硯)




ヨヒ(ヨキ・斧)




アシタボ(明日葉)




アシタボ ハチジョウソウ アシタグサ(明日葉)
アコウジル(キジハタ汁)
エンバイジル




アラト(座敷)オトイサマ(仏様)エンガイ(縁側)
カガミド(板戸)カモンシタ(上座)カメノコシ(台所)
ケドモト(上り端)シェド(背戸)シェド(土間)
セドグチ(背戸口)トブクラ(戸袋)トリショウジ(通障子)
ナハバシラ(大黒柱)ヌヒバ(軒下)ヒドコ(かまど)
マエ(前庭)ユルイ(囲炉裏)




ショナハナビシャホ




アンコ(姉)
スカリ
チゲ




オオヤ




カグラサン(ロクロ)




スイガン(箱メガネ)




スイガン(水中メガネ)




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